重厚感を纏ったような金属感、経年により存在感が増した古材、無機質な人工大理石、さらにはセメント。ミラノサローネ2015で注目度の高かったキッチン・バスメーカーのBoffiの作り上げるCMFには目を奪われてしまう。高度な技術によりそれぞれの素材を磨き上げ、それらを組み合わせることで作り出された空間には圧倒される。

大きな冷蔵庫の扉は一見酸化した金属のように見えるが、実は下地に5層、仕上げに3層もの工程を重ねた職人の手による塗装だという。

また古材のキッチン扉は、古材風に加工したものではなく、限りある古材を独自のルートで世界中から集めることで量産化を実現している。真似をしたくでも到底真似ることはできないほどのCMFへの追求である。

そうして作り上げられた空間は、ナチュラルと無機質、無骨と繊細、工業的ミニマルとクラフトなど相反する価値観を先鋭的に取り込み、独自の価値観を生み出すことに成功している。