Region-Specific ~素材を活かした美しい空間~
近年、地域の素材を活かしたデザインの建築が注目を浴びている。
7月に岐阜県にできた新しい複合施設“みんなの森 岐阜メディアコスモス” (設計:伊東豊雄建築設計務所)は地元岐阜県のヒノキを使用した組み木が印象的だ。厚さ約20mmである岐阜県産ヒノキの板を曲げ、3方向に層状に重ねることで、波打つような天井と格子のグラデーションで有機的な空間を演出している。
組み木の曲面に沿うように天井から吊り下げられたグローブと呼ばれる巨大な傘は、伝統技術をベースに生まれたハイテク素材、サカセアドテックの三軸織物が使われている。
軽量かつ強靭、そして曲面追従性の高さを特徴とした三軸織物を採用することで、布特有の暖かさと柔らかさを生かしたまま、空間を構成する印象的な存在になっている。
この11個のグローブに不燃の不織布を張り合わせることで空間認知の基点とし、さらには自然換気と太陽光を取り入れる役割も持たせている。
ただ規格化された材料を使うのではなく、地域特有の素材を使用して、今までにない意匠や機能で地域を活性化させた素晴らしい建築である。