建築に見る、素材の現象的要素を活かしたCMF ~Color mirage texture~
東京・表参道には建築ファサードの表層表現にこだわった作品が数多くみられる。青山に完成した「miu miu」の新店舗もその一つだ。新店舗はスチール製の外装ですっぽり覆われたボックス状の内向的な建物で、ガラス張りの一階フロアのみが露出している。フロアの軒下から内部を見上げると、内側にはドット状に型押しされた銅板が全面に施され、インテリアのモチーフとして繰り返し使われている、ライムイエローのファブリックが、銅の放つ色や、テクスチャーと混ざり合って、独特の光を放っている。単に素材にパターンを施すだけではない、映り込んだ時の色や、大きな面として放つ光りの色味など、現象的な要素も考え抜かれた建築のCMFは、銅という素材のイメージに広がりを持たせてくれる作品であり、スケールの大きなシーンでのCMFの可能性を感じさせてくれるデザインである。